製品や素材の表面加工として知られているブラストですが、装置や種類の多さにどれを利用したらよいのかわからないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は、基本的なブラストに関する知識に加えて、ブラストの選び方をわかりやすくご紹介します。
ブラストってなに?
ブラストというのは英語の「Blast」という言葉がもとになっており、吹きだし・吹くという意味があります。その名のとおりブラストとは、装置を利用して研磨材を打ちつけて表面処理を行うというものです。表面処理といっても鏡面のようにするものではなく、凹凸をつけることで機能性やデザイン性を高めるという働きもあります。
ブラストでできること
ブラストの使用方法としては上記でもご紹介したように、表面に凹凸をつけるほかにも、加工の前処理として使われる場合があります。具体的にはメッキ加工や塗装加工を行う前にブラスト処理を行うことで、汚れやサビなどを落としてきれいにするという働きがあるのです。また工芸作品を製作する際に、装飾として利用される場合も多くあります。
ブラストのメリット
ブラストのメリットとしては、通常の研磨では難しいような細かい部分にまで対応できるという点があります。加工部分が小さく機械が届かない、奥にあるため機械が届かないという部分でも、ブラストであれば研磨剤をしっかり吹きつけ加工できるのです。そのほかにも研磨材を打ちつけることから、表面に硬化現象が起こり、より丈夫にできるというメリットもあります。
ブラストのデメリット
ブラスト加工のデメリットとしては、鏡面仕上げのように表面をツルツルにできないことがあげられます。研磨材を吹きつけるという仕組みのため、どうしても凹凸が出てきてしまうのです。また真鍮や薄い鉄板には加工できないというデメリットもあります。
ブラストを行う装置で選ぶ
ブラスの選び方としては、使用する装置で選ぶという方法があります。ここではエアーブラスト、ウエットブラスト、ショットブラストの3種類について、それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
エアーブラスト
エアーブラストはエアーコンプレッサーで圧縮した空気を使って、研磨材を吹きつける装置です。サンドブラストと呼ばれる場合もあります。サビを落としたり、塗装加工の前処理として利用したりするのに適しています。さらに彫刻や工芸品などへの装飾を行うのも得意としているのです。使用する研磨材としては、樹脂やガラスなどのような小さな研磨材との相性がよいといえるでしょう。
ウエットブラスト
ウエットブラストとは、水の力を利用して研磨剤を打ちつける装置です。洗浄機能も期待できるため、機械の部品などの油がついているようなものの、ブラスト加工に最適です。また爆発しやすい金属のようなもののブラスト加工も安全に行えます。
ショットブラスト
ショットブラストはブレードという投射機を回転させながら、その遠心力で研磨材を打ちつける装置です。研磨剤だけでなく、研削材やビーズ・玉・砂なども打ちつけられます。一般的には鋼材の下地処理として、ブラスト加工されることが多く、サビや汚れから加工するものを守るという働きがあります。そのため機械部品や耐摩耗部品などの加工へ適しているのです。
ブラストで吹き付ける材料で選ぶ
ブラストで吹きつける材料がかわると、仕上がりも大きく異なっていきます。そのほかにもブラスト剤の密度や放射距離、圧力の大きさなども影響を及ぼします。ここではブラストで吹きつける材料について、代表的なものをご紹介していきましょう。
装飾用なら
装飾用として利用するなら、ガラスビーズやジルコニアビーズなどを利用するのがおすすめです。これらのビーズブラストは丸い球体を打ちつけるというもので、キラキラした曇った表面に仕上げられます。手垢や汚れもつきにくいため、装飾用の仕上げとして最適です。
塗装のはがしや前処理・サビとりなら
処理の一部として利用する場合にはサンドブラスト、鉄・ステンレスなどを利用したブラストがおすすめです。よく使用されることの多いサンドブラストは、トゲのあるセラミックを打ちつけるものとなっています。その名前のとおりザラザラとした砂のような仕上がりが特徴的で、塗装や接着剤が密着しやすいというメリットがあります。
研磨材として利用するなら
研磨するためにブラスト加工を行う場合には、ガラスビーズ・アルミナ系研磨剤(白)・黒色炭化ケイ素質などを利用するのが一般的です。研磨するものの硬度や希望の仕上がりによって、研磨材を選ぶことが大切です。
まとめ
今回は表面処理で欠かせないブラスト加工について、その選び方をご紹介しました。ブラスト加工を行う装置で選ぶ方法と、打ちつけるブラスト剤から選ぶ方法があります。加工したいものの材質や希望の仕上がりに合わせて、最適なものを選ぶようにしましょう。
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